納骨費用は相続税の控除対象になる?一般的な相場とは
家族や親戚が亡くなったとき、遺族は葬儀を行い、故人の遺体を火葬する必要があります。
その後、遺骨は自宅に保管しておいても法律的に問題はありませんが、埋葬するのが一般的です。
遺骨はどこに埋葬しても良いというわけではなく、墓地として認可されている場所に限られます。
いわゆる「納骨」を行うわけですが、その際にいくつかの費用が発生します。
この記事では、納骨とは何か、その費用や相続税の控除対象になるかどうかをご説明していきます。
納骨とは
故人の遺骨をお墓などに安置することを「納骨」といいます。
納骨の際には、遺骨を「骨壺」と呼ばれる金属や陶器でできた壺に入れる方が多いです。
「埋葬」と混同されがちですが、その意味は似て異なるものなのです。
納骨は火葬した“骨”を霊園や寺院などに納めることを指します。
一方、埋葬は“遺体”を土の中に葬ることを指しています。
日本においては火葬が主流となっているため、火葬を埋葬と呼んでいますが、本来は土葬のことを指した言葉です。
近年、納骨は室外のお墓だけでなく、室内の納骨堂で行われることも多くなっています。
納骨の時期は法律で定められていません。
しかし、ほとんどの場合、四十九日もしくは一周忌の法要と同時に行います。
お墓を建てるのに2~3ヶ月を必要としますから、上記の日程に間に合わないケースもあるでしょう。
その場合、三回忌などに行われます。
納骨にかかる費用はどのくらい?
納骨の際、僧侶に同席してもらい読経を行う儀式を「納骨式」といいます。
「納骨法要」というのが正式名称で、宗教によって当日の流れが異なります。
納骨にかかる費用の多くは、納骨式のためのものといっても過言ではありません。
実際、納骨にかかる費用はどのくらい必要なのでしょうか?
お墓の購入費
新たにお墓を建てる場合、大体200万円前後かかります。
お墓の建立に必要な費用は大きく分けて三種類です。
・墓石代
文字どおり墓石にかかる費用で、住んでいる地域によって相場に違いがみられます。
100~190万円くらいを目安にしておくと良いです。
それ以外にも、彫刻代が3~4万円、工事費用が2~50万円加算されることがあります。
・管理費
納骨を行った墓地や霊園に支払う費用で、お墓や共用設備の清掃や水道料金などに当てられます。
墓地や霊園の種類によって相場が異なりますが、大体2000~15,000円程度です。
・永代使用料
納骨のための土地代になります。
地域によって25~200万円と相場に幅があります。
納骨式の費用
納骨式を行う場合、僧侶への謝礼としてお布施を支払うのがマナーとされています。
お布施の金額については後述しますが、納骨式ではそれ以外にもいくつか費用が必要です。
・御車代
お布施とは別に、僧侶への交通費として渡す費用です。
5000円から1万円程度が相場となります。
・会食代
法要後、施主は列席者や僧侶を招いて食事の場を設けるのが一般的です。
そのためにかかる費用は1人あたり3000円から1万円程度と考えておきましょう。
・御膳代
僧侶が会食を欠席する場合に渡すお金です。
5000円から1万円程度を目安とします。
・塔婆料
故人の供養のため、お墓の後ろに「卒塔婆」と呼ばれる板を立てます。
卒塔婆の作成に対して僧侶に支払うのが塔婆料です。
お布施とは異なり、寺院によって金額が決まっているため、事前に確認しておきましょう。
1本2000~5000円程度が相場となります。
・お供え物代
納骨式で必要な線香やろうそく、花などを購入するための費用です。
お供え物として、故人の好きだった食べ物や飲み物、お酒などを用意します。
5000円から1万円程度みておくとよいです。
納骨のお布施の相場
納骨式で僧侶に支払うお布施は1~5万円程度が相場とされています。
ただし、納骨式を法要と同時に行う場合は、法要に対するお布施も渡さなければなりません。
また、法要の種類によってお布施の相場が異なるため、注意が必要です。
祥月命日(故人がなくなった月日)であれば5000円から1万円程度、四十九日もしくは一周忌であれば3~5万円程度が目安となります。
三回忌以降の法要では1~5万円程度のお布施を用意しましょう。
金額で迷う場合は、寺院に問い合わせてみても問題はありません。
納骨費用は相続税の控除対象になる?
被相続人に遺産があり、法定通りもしくは遺言によって相続したときには「相続税」というものを支払う義務が生じます。
相続税を算出する上で課税対象になる相続財産のことを「みなし相続財産」と呼びます。
【みなし相続財産の例】
・現金や有価証券などの金融資産
・土地や家屋、駐車場などの不動産
・家具や貴金属、自動車などの動産
・著作権や商標権などの権利
・機械や家畜、売掛金などの事業用財産
これに対し、課税対象にならない相続財産もあります。
仏具や交易目的の事業費、心身障害者共済制度に基づいた給付金を受け取る権利などが該当します。
相続税には基礎控除額というものが存在します。
基礎控除額は法定相続人の人数に比例して大きくなり、この金額を上回る場合にのみ税金を支払わなければなりません。
そして、納骨費用は「葬式費用」の一部として相続財産から差し引くことが可能です。
従って、金額によっては相続税が減額、あるいは免除される可能性もあるでしょう。
ただし、葬式費用として以下のものは該当しません。
・香典返し
・墓地や墓石、仏具の購入費
・彫刻代
・法事費
・遺体の解剖にかかる費用など
まとめ
以上が、納骨とは何か、納骨にかかる費用の相場のご説明になります。
納骨費用は相続税の控除対象となります。
この事実を知っておけば、相続税の負担額を大幅に減らすことも可能です。
相続税の算出に関しては専門知識が必要となるため、専門家に相談することをおすすめします。