お布施の相場や書き方のマナーをチェック
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お布施の相場や書き方のマナーをチェック

2018年10月31日(水)3:20 PM

私たちが日ごろ耳にする「お布施」とは、葬儀や法事などで僧侶に渡すお金のことです。
お布施を用意する立場になった時に恥ずかしくないように、お布施の書き方や相場、マナーについて知っておきましょう。

お布施の相場はどれくらい?

お布施は結婚式のお祝いとは違い、金額の定義が明確に決められていません。
そのため相場は儀式の内容や宗派、そして地域によって大きく異なっています。
今回は儀式ごとに平均値を見ていきたいと思います。

まず誰もが気になるところが「通夜」や「告別式」といった葬祭関連ですね。
多くの方が行う葬儀(2日間に渡っての儀式で戒名と読経を依頼した場合)は、15万円~50万円と幅があります。
また菩提寺を持たず葬儀社に紹介してもらう場合は、葬儀社から事前にお布施の相場について教えてもらえる場合もあるので、参考にしましょう。
葬儀の後に行われる納骨のお布施は、概ね1万円から5万円くらいまでです。
さらにお寺によっては、お墓を改葬する(お墓を移動する)際に魂の抜き入れにそれぞれ1万円以上のお布施が必要なところもあります。

次に機会が多いのが法事法要です。
法要では読経を上げてもらい、供養のお礼としての役割をお布施が果たします。
亡くなった日の祥月命日をはじめ、四十九日、一周忌、三回忌、それ以降と続きます。 その中でも四十九日や一周忌など、一度しかない重要な法要は毎年行われる祥月命日よりも金額を多めに包む家庭がほとんどです。
相場は以下のようになります。

●祥月命日は5,000円~1万円

●四十九日、一周忌は3万~5万円

●三回忌以降は1万円~3万円

そしてお盆やお彼岸といった、季節ごとの儀礼にもお布施が生じます。
春秋のお彼岸、夏のお盆の時期に信者の家を巡って読経する姿をよく見かけますね。
この場合の相場は、お車代として5,000円以上、その他食事会に出席してもらえば別途支払ったりします。
また故人が亡くなってから初めて迎える初盆供養では、親戚も多く集まる傾向があるため、金額相場も3万円~5万円と多くなります。

お布施の定義とは?

仏教徒である日本人の生活の中で、お布施という言葉は比較的耳にする機会の多い身近な言葉です。
しかし、あらためてその意味は何かと聞かれると答えられない、そんな声もよく聞きます。少し知識を整理してみましょう。

布施とは仏教の中にある6つの修行のうちの1つで、文字通り人に施しを与えることと説いています。
この6つの修行は六波羅蜜と呼ばれ「6つの徳を日々積み重ねていくことで煩悩が消え、悟りを開ける」というのがお釈迦様の教えになります。
六波羅蜜の内容は以下の通りです。

●布施(施しを与え社会に貢献する)
●持戒(戒律を守り省みる)
●精進(いつも努力する)
●忍辱(苦しくとも耐える)
●禅定(心を落ち着かせ省みる)
●智慧(判断力をつけ真実を見る)です。

六波羅蜜は僧侶のみならず、信者も含めた全ての人にとって大切な徳であるという位置付けです。

また、お布施は財施(ざいせ)、法施(ほうせ)、無畏施(むいせ)と3つの意味を持っています。
その違いはそれぞれが施す物によって分類され、財施は金銭や食料などの物資、法施は読経やお釈迦様の教えを説く、無畏施は恐怖や不安を取り除く、という意味を持ちます。
この場合、私たちが使っているお布施は金銭によるものなので財施に当たりますが、葬儀や法事法要などでの読経は法施になります。

ところで、葬儀や法事などで僧侶に手渡したお布施は、一体どうなるのでしょうか。
実はこのお布施は、受け取った僧侶の個人の資産になるわけではありません。
お布施はご本尊に捧げるものであり、お寺の維持や法務、さらに住職やその家族、そして僧侶たちの生活のために使われます。

そんなお布施ですが、読経や戒名などへの対価という観念はなく、あくまでも「気持ち」と解釈されています。
それゆえに金額の相場について定義しにくいのです。
かつて、ある葬儀社が金額相場を公開したところ物議を醸したニュースもありました。“感謝の気持ち”でお布施の金額を決めるのは難しく、利用者にとっては一般的な相場を知りたいと思うのはごく自然なことでしょう。

しかし葬儀を行う側としては、金額を公にしたくないという事情もあるようです。
昨今は家族の形も変わり、葬儀に対する考え方も少しずつ変化していますので、時代に合わせてお布施についての価値観も変わっていくかもしれません。

お布施の封筒の選び方

お布施にするお金は当然のことながら、包んで手渡すことがマナーの鉄則です。
正式には半紙でお札を包んで中包みにし、それを奉書紙(上包み)で包みます。
なお奉書紙には表裏があり、ツルツルと滑らかなのが表、ざらざらとしているのが裏です。
もし奉書紙が用意できなければ、市販のお布施用の封筒でもかまいません。

水引きについては原則不要とされていますが、一部の地域では使うところもあるので、心配であれば事前に風習を聞いて確認してみましょう。

お布施の封筒の正しい書き方

お布施の封筒には、書き方の形式があります。
まず薄墨ではなく必ず普通の黒墨を使用することです。
表面には一般的にお布施、または御布施としますが何も書かなくても大丈夫です。
中袋裏面の左には住所、氏名、右側に金額を記入します。
この時、金〇萬圓というように、額の前に金の字を書き漢数字を旧字体で記入します。
封筒に入れる際は、封筒の「御布施」と書かれた部分に、福沢諭吉の顔が重なるように入れます

まとめ

お布施は、布施とは仏教の6つの修行に由来していて、財施(ざいせ)、法施(ほうせ)、無畏施(むいせ)と3つの意味を持っています。

儀式への対価というより「供養に対する感謝の気持ち」を表したものです。そのため、お布施に決められた金額はないのです。

一般的な葬儀の場合、お布施の相場は15万円~50万円と幅がありますが、葬儀社を介する場合は相場を教えてもらえる可能性があります。
無理のない範囲で、故人への供養に感謝する気持ちを表したいですね。

 



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