神道の葬儀の特徴は?香典やお供えのマナーや作法を確認
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神道の葬儀の特徴は?香典やお供えのマナーや作法を確認

2018年12月28日(金)10:50 AM

神道葬儀マナー イメージ日本の葬儀では、およそ9割が仏式の葬儀と言われていますが、日本固有の神道の葬儀を行う方もいます。
参列時に戸惑わないためにも、神道の葬儀における特徴を事前に知っておきたいですね。
今回は神道の葬儀について、また作法やマナーについて紹介します。

神道の葬儀とは?

神道の葬儀は、神社神道の祭祀によって行われます。
神社神道は、日本全国の神社で実施される祭祀儀礼を中心とした信仰として知られています。
神道の葬儀は「神葬祭」と呼ばれ、神葬祭では「穢れ(けがれ)」と「先祖崇拝」がポイントになっています。
まず、穢れは生命力が減衰した悪い状態を示します。
神葬祭を執り行うことで、穢れをはらい清めて、日常の世界に戻れるとされています。
葬儀では屏風を逆さまにすることで非日常を表し、葬儀後には元に戻して日常を表します。
また、神葬祭の儀式を通して故人が祖先神になることも特徴です。
故人の御霊を移した霊璽(れいじ)を祖霊舎(それいしゃ)に祭れば、遺族や親族を守る祖先神になるといった考えです。
神葬祭は仏式の葬儀ほど統一された式次第が存在せず、地域や神社などによって流れが変わることも珍しくありません。

神道のお葬式にかかる費用はどれくらい?

日本は世界的に見ても葬儀費用が高額な傾向にあり、仏式のお葬式を選ぶと平均相場で200万円ほどかかります。
神道の葬儀の場合、一般葬で50万円~100万円と言われています。
仏式よりも費用が安い理由のひとつには、戒名料が生じていないことがあげられます。
また、神道では式場が自宅や斎場に限られること、シンプルな神式祭壇を使えることも費用の抑制につながっています。
ただし、神道の葬儀は仏式とは形式が違うため、葬儀社や葬儀形式に応じて費用が変わりやすいことに注意しなくてはいけません。
葬儀プランの費用が安く設定されていても、オプションを付けなければほとんどの儀式を執り行えない場合があります。
オプション数が増えれば、お葬式の費用も高額になります。
加えて、神道の葬儀を取り扱っていない葬儀社も多く、仏式の葬儀より選択肢が少ない可能性があります。
神職への玉串料や、霊園に墓地を用意する費用も必要です。
場合によっては仏式よりも高額になる可能性があります。

神道と仏教の葬儀の違い

神道の葬儀である神葬祭は、仏式の葬儀・告別式とは意味合いが異なる宗教行事です。
仏式の葬儀は、死者の魂を極楽浄土へ送り出すために行われますが、神葬祭は故人を先祖と共に守り神として奉るために行われます。
神葬祭では、ほかの宗教では用いられない榊(さかき)や霊璽(れいじ)などを使い、独特の儀式が行われることも特徴です。
また仏教には経典がありますが、神道に教典は存在しません。
神葬祭では読経ではなく祝詞が唱えられますし、焼香や線香ではなく、玉串奉奠を捧げます。
葬儀中に雅楽の演奏が行われたり、納骨のタイミングが火葬後すぐになったりする点も仏教との違いです。
このほかには、神棚封じが忌明けまで続く、位牌ではなく霊璽(れいじ)を用いる点も特徴です。
神道に戒名はありませんが、諡号(おくりな)というものがあり、誰もが等しく付けられます。

参列時の作法

神道の葬儀では数珠は必要ありません。
また、冥福や成仏、供養といった仏教用語も使いません。
挨拶時は「御霊のご平安をお祈りいたします」と伝えるとスマートです。
服装は黒で統一した喪服を着用し、仏式と同様に小物やアクセサリーは身につけないのが基本です。


さらに参列時の作法として注意したいポイントは、通夜祭に参列する前に必要な手水の儀と神葬祭で行われる玉串奉奠のふたつです。
ここでは各儀式の流れと注意点をまとめました。

手水(ちょうず、てみず)の儀

仏教の葬儀におけるお通夜に該当するのが、神道の葬儀で行われる通夜祭になります。
通夜祭の参列者は、祭壇前に着席する前に、手水の儀で身を清めなくてはいけません。

【手水の儀の流れ】

  1. 右手でひしゃくを持って水を汲み、左手にかける。
  2. 左手でひしゃくを持ち、右手にかける。
  3. 右手にひしゃくを持ち替え、左手で水を受けて、口をすすぐ。
  4. ひしゃくで左手に再び水をかけ、口や手元を用意された懐紙などで拭く。

玉串奉奠(たまぐしほうてん)

亡くなった方の霊が安らかであるよう祈る儀式が、玉串奉奠です。
玉串はどういうものかというと、榊(さかき)の枝に紙垂(しで)という白い紙片をつけたものです。

【玉串奉奠の流れ】

  1. 斎主に一礼をして、玉串を両手で受け取る(右手で根元、左手で枝先を支えるように持つ)。
  2. 遺族に一礼し、玉串を胸の高さで立てるようにし、時計回りに回転させる。
  3. 玉串の根元を祭壇側にして置く。
  4. 数歩下がって、音を立てず(しのび手で)二礼二拍手一礼をする。
  5. 遺族に一礼して席に戻る。

神道の葬儀に持参する香典について

香典を包む不祝儀袋の表書きは宗教によって異なります。
神道の場合には白無地で白黒や双銀の水引を使います。
しかし、蓮の花が描かれている不祝儀袋は、神道で使用できない仏教用ですから間違えないようにしてください。
表書きには毛筆や筆ペンで御玉串料もしくは御霊前と書きましょう。

参列時に持参する香典の金額は、仏教の葬儀と同額ほどの目安で問題ありません。
香典の金額に明確な基準はありませんから、故人と自身の立場に応じてどれほど包むかを決めましょう。
また、香典以外に祭壇へお供えする神饌を持参する際には、故人の好んだ食べ物を選んでも良いでしょう。
ただし、神道の葬儀でお供え物には序列が定められていて、並べ方は厳格に決まっているので自分で安易に並べてはいけません。
神饌を持参したい場合は、喪主に確認しておくことが大切です。



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