遺体搬送を自家用車で行う場合や飛行機を利用するときの注意事項とは
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遺体搬送を自家用車で行う場合や飛行機を利用するときの注意事項とは

2018年07月10日(火)4:19 PM

遺体搬送

 

日本の死亡者の約8割が、病院で亡くなります。では、病院で亡くなった後遺体の搬送はどこにどのようにすればいいのでしょうか?また、病院から自宅や葬儀する場所が離れている場合どうやって搬送するべきかについても悩みます。

近親者が亡くなった場合、突然のことで何から始めればいいのかわからなくなりますが、あらかじめ知識があれば、冷静に判断し対応できるでしょう。

ここでは、遠方や、海外で亡くなった場合、もしくは、遠い故郷で葬儀を行いたい場合などのご遺体の搬送に関して必要な知識をまとめていきます。自家用車や飛行機など遺体搬送にはどのような手段があるのかについてなどを法律の話も交えながらまとめます。

加えて、日本以外の国が絡んだ際のケースなどにも言及するので、もしもの時のために、是非チェックしておいてください。

遺体搬送は自家用車を使っても法律上問題なし?

病院で亡くなった場合、一般的には、葬儀会社や、斎場、火葬場の霊安室に搬送します。または、ご自宅で葬儀を行う場合は、自宅への搬送になります。

そもそも、遺体を自家用車で自宅などへ搬送しても問題はないのでしょうか。実は、現在の法律では、これを禁止していません。つまり、家族が自家用車を用いて遺体を自宅などに搬送することは認められているのです。

ただ、法律で禁止されていないからといって、自分たちで搬送するには、不安があることも否めないでしょう。遺体は、寝ている人とは異なります。シートに座らせて運ぶわけにはいきませんし、寝かせる場合にも、膝などを折り曲げるわけにはいきませんから、それなりのスペースが必要になってくるはずです。

万が一、遠方で亡くなられた場合、遺体を長距離自家用車で搬送というのは難しいということが想像がつきます。また、自宅に搬送する場合は、事前に確認しなければならないことあります。搬送後、自宅内に遺体を安置できる場所があるのか?自宅がマンションなどの集合住宅の場合、管理会社に搬送許可が必要であったり、エレベーターで搬送できるかどうかも確認が必要になります。

自家用車で搬送することは、法律上問題はありませんが、様々な手続きや対応が必要になるため、葬儀会社や、専門の遺体搬送業者に任せるのが一番安心ということがわかります。

死亡診断書を準備しておきましょう

大切なご家族が亡くなると、なかなかすぐに気持ちを切り替えることは難しいかもしれませんが、葬儀社に連絡を取るとともに「死亡診断書」を準備しておかなければいけません。

これは「死体検案書」とも呼ばれる書類で、医師が遺族などの求めに応じて交付することになっています。死亡診断書には、亡くなられた方の氏名や性別、生年月日をはじめ、死亡したところや死亡の原因、種類などを記載する欄があり、それを医師が埋め、遺族などに渡します。

遺族は死亡診断書を準備しておかなければいけませんが、遺族個人が用意できるものではないので、必ず病院でご家族の死を確認した医師や、かかりつけの医師に発行してもらう必要があります。

遺体を病院から自宅などに搬送する際、この死亡診断書は非常に大きな意味を持ってきます。遺体搬送時に死亡診断書が必ず必要なわけではありません。これも法律上には具体的な記載はなく、つまり義務ではないのです。

まれに、ご遺体を搬送している途中で警察などからの検問を受けた際、死亡診断書を携帯していなければ死体遺棄と疑われる場合があります。そのため、もし個人で搬送することがあるとすれば、死亡診断書を準備しておいたほうが良いでしょう。

遺体の搬送時に死亡診断書携帯の義務は法律上ないと説明しましたが、だからといって不要というわけではありません。もしご家族が息を引き取られた場合には、1週間以内に役所に“死亡届”を提出する必要が生じます。

これは義務です。そして、この死亡届を出す際に医師から発行してもらった死亡診断書が必要になるのです。死亡届がなければ火葬することもできず、ご遺体を法律にのっとった形で埋葬することができません。さらに、保険などに加入している場合には、保険料受け取りなどのために保険会社から死亡診断書の提示を求められます。

後々、死亡診断書は必要になるため、できるだけ早く医師に発行してもらうようにしましょう。1枚では足りない可能性も出てきますので、コピーをして複数枚用意しておくと安心かもしれません。

遺体搬送を飛行機で行う場合には

亡くなる場所が、ご自宅の近くであるとは限りません。療養や静養のために自宅から遠く離れた場所で、生活している際に亡くなってしまうケースもあるでしょう。出張中や旅行中などの事故や急病により亡くなるケースもあるかもしれません。

自宅と病院が、自動車ですぐに行き来できる距離であれば、葬儀社の遺体搬送専用車両でご遺体を搬送することができますが、この距離が非常に離れている場合には、空輸でこれを行う必要が出てくるでしょう。つまり、ご遺体を飛行機を活用して搬送しなければならなくなるのです。

明確な基準はありませんが、ご遺体のある場所から自宅など搬送先までの距離が500kmを超えると、飛行機で運んだ方が費用面でも負担が少なくなる可能性があります。

自動車による搬送と異なるのは、自家用ジェットなど個人で飛行機を飛ばすことは難しく、多くの場合、コンテナにご遺体を入れ、それを旅客機などに載せ運ぶことになる点です。一般的な荷物(この場合はコンテナに入れるので貨物)として扱われるため、少々心苦しい部分もありますが、安全に搬送することを優先すれば、このような形にせざるを得ません。

当然飛行機の予約も必要になり、また、目的地の空港に到着してから自宅までは車両で運ぶことになるため、それも含めて葬儀社に相談し、予約から搬送までを行う必要が出てきます。

できれば、飛行機での搬送と空港から自宅までの一連の搬送は同じ葬儀社にお任せするようにしてください。

遺体の搬送を飛行機で行う場合は、説明したようにコンテナに遺体を入れなければいけませんが、そのままの状態ではもちろん入れることができません。必ず棺に遺体を入れる必要が生じます。

もし病院でこれが可能な場合には、病院で納棺し空港へと運び飛行機で遺体搬送を行いますが、それが難しいケースでは、別の場所で棺に遺体を納めなければいけません。このとき、飛行機の離着陸の動きなどに対応できるよう納棺する必要も出てきます。ただ棺に入れただけでは不安定であり、離着陸時のみではなく飛行中に機体が上下したりなどした際にも、遺体を傷めてしまうリスクが出てくるでしょう。それを最小限にするためにしっかりと固定し、棺内などに詰め物をした上で衝撃を吸収できるよう、棺そのものもしっかりとガードするための措置をしておきます。

当然ですが、貨物を輸送するためにはお金がかかります。それがご遺体であってもコンテナを貸し切った上で搬送を行うため、そうした費用の準備もしておくようにしてください。

ちなみに、遺体搬送に飛行機を活用する場合、葬儀社や距離などによってもかなり上下しますが、20万円から30万円ほどが相場となっています。精神的に、なかなか余裕がないかもしれませんが、細かな内訳などもしっかりと確認し、複数の葬儀社を比較した上で契約するようにしましょう。

遺体搬送を海外まで行うことは可能?

亡くなった場所が、ご自宅の近くであるとは限らないという話はすでにしましたが、この場所が海外の場合もあるでしょうし、ご遺体を搬送すべき場所が海外であるケースもあるかもしれません。そもそも、遺体搬送を海外まで行うことは可能なのでしょうか。

まず、ご家族などが海外で亡くなられた場合、そのご遺体を日本に運んでくることはもちろん可能です。残念なことではありますが、海外へ旅行や仕事に行った日本人が亡くなり、ご遺体を日本へと搬送するというニュースをしばしば目にする機会があります。このことからもわかるように、このこと自体は問題なく行うことができます。

ただ、遺体を日本へと搬送するためには、“エンバーミング”と呼ばれる措置をしなければいけません。これは、遺体を衛生上安全に保つための処理なのですが、亡くなられた国によってはこれが不可能なこともあるため、まずはこれを確認する必要が出てくるでしょう。

日本で亡くなられた方の遺体を海外へと搬送することに関してですが、これももちろん可能です。本人が亡くなられているので意思の確認が難しいところではありますが、仮に日本以外の国へ遺体搬送するのであれば、その国の領事館などと連携しながら、どのような形で搬送するのかを検討し、決めていきます。

日本の遺体の扱いや葬儀の風習などとは全く異なるルールを持った国も多いですから、綿密に連絡を取り合いながら、搬送の準備や手続きを行っていくことが求められるでしょう。

往々にして、亡くなられた本人のパスポートと、亡くなられた国で発行された死亡診断書、そして上で説明したエンバーミング証明書などの各書類が、遺体搬送には必要になってきます。

こうしたことも含めて、海外からの遺体搬送あるいは海外への遺体搬送の手続き等は葬儀社が行ってくれるため、必要であれば葬儀社に相談・依頼するようにしてください。

まとめ

ご自宅で亡くなられるケース以外では、必ずご遺体の搬送が必要になってきます。それをご家族が自家用車などで自身で行うことも可能ではありますが、安全面などを考慮すれば、葬儀社や専門業者に任せるのがベストでしょう。

長距離の移動であればなおさらですし、飛行機などを用いる場合も同様です。死亡診断書などの取り扱い等も含めて、このような事態になってしまった時には、葬儀社ほど頼りになる存在はありません。前もって準備することはなかなかできないことであり、冷静に判断できない場合もありますので、しっかりサポートしてもらえる葬儀社や専門業者に相談や依頼をすべきです。

相談や依頼をすると同時に、最低限の知識を持った上で、ご遺体の搬送の準備を整えるようにしてください。



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