正しいお焼香の方法や数珠の使い方とは?
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正しいお焼香の方法や数珠の使い方とは?

2018年10月31日(水)2:50 PM

葬儀の参列マナーは、宗派や様式によって様々です。

その中で、お焼香の際のマナーについて気になる人が多いと思います。
正しいお焼香のあげ方から数珠の選び方、使い方まで、分かりやすく解説します。

お焼香とは?

一般的に「焼香」とは、仏前・霊前にお香を焚いて拝むことです。
お仏壇や、お墓参りでお線香をあげることも焼香のうちに入ります。

葬儀では、立礼焼香が一般的で、宗派によってやり方が少しずつ異なります。
抹香といい棒状ではなく細かく粉末状にしたお香を用いることが多く、祭壇の前に香炉が用意されます。

仏教において供養のひとつであり、香りによって不浄をはらい、清めてから故人の冥福を祈ります。

故人の宗派に合わせて行うことが理想ですが、基本の動作を知っておけば恥をかくことはありません。
また、お焼香の際には数珠の使い方も重要になりますので知っておきましょう。

正しいお焼香の方法

お焼香の基本的なやり方は、どの宗派でも概ね共通しています。

まず、自分の番が来たら祭壇に進み、遺族に一礼した後、遺影の正面に向き合い一礼します。

焼香台に進む際は、通路の端を歩くようにします。

続いて一度合唱したあと、親指、人差し指、中指の3本の指で抹香をつまんで額の高さにあげます。この動作のことを押しいただくと言います。

押しいただく回数は宗派によって定めがあり、わからない場合は遺族の焼香に倣うといいでしょう。

そして、再度遺影に向かって合掌した後一歩下がり、一礼します。

仏教徒であれば、基本的に左手に数珠を持ち、右手で焼香をおこないます。合掌する際の数珠の持ち方は宗派によってそれぞれの作法があります。

お焼香の宗派による注意点

一部の宗派では、作法が少しずつ異なる点がありますが、ここでは押しいただく回数と方法を宗派別にご紹介します。

●浄土真宗本願寺派 1回のみ
●臨済宗 1回※押しいただくかどうかは特に定まりなし
●曹洞宗 1回目を押しいただき、2回目は押しいただかずに香炉へ
●大谷派 2回
●真言宗 3回

このように宗派によってもそれぞれのやり方があるので、心配な場合は事前に遺族や受付で確認してから臨みましょう。

回数は特に重要ではなく、心を込めて焼香することに意味がありますので、丁寧に供養することを心がけることが大切です。

数珠の正しい持ち方や使い方

合掌する際の数珠の正しい持ち方についてもやはり、各宗派によって独特の作法があります。
その理由はそれぞれの宗派で数珠や念仏に対する考え方を持っていて、その教えに沿っているからです。
宗派ごとの数珠の使い方と、特徴について解説します。

浄土宗の場合

南無阿弥陀仏を唱えることで得を重ねる浄土宗の数珠の特徴は、2つの輪が交差した形になっています。
輪のそれぞれに親玉と主玉があり、さらに一方の輪の方には主玉と副玉が交互に連なっているという構造です。
副玉がある方の輪にある親玉に計16個の弟子玉が繋げられ、房になって垂れさがっています。
持ち方は2つの輪を両手の親指にかけて房を手前に垂らし、親指で軽く押えるようにして持ちます。

浄土真宗の場合

国内一、信者が多いと言われる浄土真宗の数珠の形状は、男性と女性で大きく異なります。
男性用のものは主玉が22玉あり、それを半分に分けるような形で2個の天玉があり親玉から房に繋がっています。

一方女性用では主玉が108個で、親玉が1個、その対角線上に向玉が1個あり、さらに4つの四天玉があります。

持ち方は男性の場合は両派共通で、両手にかけてから房を向こう側に垂らします。
女性も男性と基本的に同じですが、本願寺派のみ、輪を二重にかけ房を左側に垂らし、親玉を揃えて親指で軽く挟みます。

なお、浄土真宗では必ずしもこの形と定まってはいないため、お寺でおすすめされたものを使うことが望ましい場合もあります。

真言宗の場合

即身成仏の教えを持つ真言宗で一般的に使われる数珠の特徴は、主玉108個からなる二重タイプで、親玉が2つあります。

親玉から7つ目と21個目にそれぞれ四天玉が4つあり、対角線上にそれぞれ常名玉から連なる弟子玉20個、露玉が4個ついてます。

長い作りになっていて、二重にして使うことから振分数珠とも呼ばれています。
合掌の際は左手にかけ、房を下に垂らして親指で挟みます。

日蓮宗の場合

数珠曼荼羅の教えを持つ日蓮宗の数珠は、108個の主玉に親玉が2個対面についています。

親玉から7つ目、21個目に天玉があり、それぞれの親玉から弟子玉が10個、露玉が2つずつ対照的に房になっています。

なお浄明玉で繋がっていない方の房に数取り玉が10個下がっています。
合掌のときは二重にかけ房を垂らし、親玉を両方の親指で軽く挟むように合わせます。

曹洞宗の場合

座禅を修行の中心とした禅宗の流れをくむ曹洞宗の数珠の特徴は、108個の主玉の中に18個おきに均等に4つの天玉、向玉が連なり親玉かた房が垂れ下がっています。
まだ数珠に銀輪がついていることは曹洞宗だけに見られる特徴です。
持ち方は二重に重ねて左手の親指と人差し指の間にかけ、右手を重ね合わせます。

臨済宗の場合

曹洞宗と同じく禅宗の教えから派生した臨済宗の数珠は、108個の主玉に親玉1個、その反対側に向玉が1個ついて形です。
4つの天玉がありますが、親玉から左右にそれぞれ8個目、23個目についています。
臨済宗の場合も左手で二重に重ね合わせて房を下に垂らし、両親指で軽く押さえて合掌します。

天台宗の場合

最澄が法華経の教えを広げた天台宗の数珠の特徴は、平べったいミカンのような形をしております。
主珠は108個あり親珠が1個、四天珠が4つから成り、親珠からそれぞれ20粒の平珠と10個の丸珠が連なっています。
基本的な持ち方は左手に二重にかけて房を下にした状態で、右手を合わせます。

数珠を持つ意味と数珠の種類

数珠を常に携帯して仏様に念仏を唱えることで、心に平安をもたらし、社会生活でも貢献すること、得を積むことを意識するためです。

毎日念仏を唱和して修行をし108の煩悩が消えて極楽浄土へ行ける、ということを表すすために主玉が108個ついています。
ただし、説いている教義によっては必ずしも108である必要はなく、それぞれが持つ独自の教えに従って作られています。
葬儀で合掌するとき以外にも、信仰心の高い信者は日常的にお寺参りをするたびに携帯しています。

数珠の選び方のポイント

数珠を選ぶときは、まず、宗派問わず使える1重の「略式数珠」か宗派で定められた2重の「本式数珠」のどちらを購入するかを決めます。

略式数珠は片手念珠とも呼ばれ、コンパクトで持ち歩きやすいのが特徴です。

本式数珠は、各宗派にあった形で108個の玉数からなり、天然木や天然石などの素材を用いた格式高い数珠です。

基本的に決まりはありませんが、年齢や状況に応じて使い分けることが可能です。

女性であれば、嫁ぎ先のことを考えたり、宗派を知られたくない場合などはすべての宗派に対応している数珠を選ぶという点もポイントです。

数珠は身を魔除けや、厄除け、また、拝むことで念を込めていくため自分の分身のようになります。特に決まりがなければ、好きな素材と色を組み合わせたものを選ぶといいでしょう。

迷う場合は家族に相談し、宗派がある場合は、菩提寺に相談することをおすすめします。

 



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