位牌とは?仏教や仏壇に関わる豆知識を紹介します
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位牌とは?仏教や仏壇に関わる豆知識を紹介します

2019年06月26日(水)11:43 AM

位牌

位牌と言えばお仏壇と並ぶほど有名な仏具です。
しかし最近では、お仏壇・位牌がない家も増えてきているため、位牌とはどういうもので何故必要なのかを改めて見直していきましょう。

位牌とはどんなもの?改めておさらい

位牌は仏壇などに飾る牌のことで、故人の戒名などが記されています。
日本は昔から「故人の魂が位牌に宿る」とされていて、位牌を仏壇などに祀り、大切に扱っています。
もともとは中国から伝わった文化でしたが、日本でも葬儀後に位牌を祀る慣習が続けられてきたことにより、定着したのです。

 

位牌は大きくわけて2種類、黒い牌と白い牌があります。
白い牌は「白木の位牌」と呼ばれている牌で、親族が亡くなった時に急いで作られた仮の牌です。
黒い位牌は葬儀を始めとする一連の儀式が終わった後に作られるもの。
「本位牌」と呼ばれる正式な位牌を指します。

 

白木の位牌は葬儀から四十九日までの儀式が終わった後、本位牌と取り換えられます。
白木の位牌から魂を抜いて本位牌に魂を移し替えるので、四十九日にはお坊さん手配して、読経していただきます。
白木の位牌と本位牌は、どちらも欠かせないものです。

 

どちらかが欠けて魂を移し替えられなければ、故人の魂はさまようことになり、成仏できないと言われています。

仏壇に置く位牌の正しい位置とは

仏壇はご先祖様がこの世に返ってきた時の仮の家であり、位牌がないとご先祖様の依代がないことになるので、家に帰れなくなってしまいます。
そのため仏教本来の考え方として、仏壇の本尊は中心にあり、傍に位牌を置くとされています。
浄土真宗は例外ですが、様々な宗派で位牌は必要です。

 

仏壇の中心はあくまでも本尊なので、位牌は本尊の一段下に置くのが基本となります。
仏壇の大きさによっては一段下に置けないこともあるので、本尊と同じ段に置くことになりますが、その場合は本尊の右側に安置してください。
本尊の右側は上座であるため、位牌が複数ない場合は上座に安置しましょう。
位牌を下の段に置く場合は本尊の目線より下に安置し、同じ段に置く場合は本尊より背の高さが低くなるように安置するのが、正しい位置です。

 

位牌が複数ある場合は、配置の順序を考慮する必要があります。
仏壇に向かって右奥から先祖代々の位牌を安置し、続いて一つ左・一段下がって右となるように、世代の古い順に安置してください。

 

個人の位牌を作る時は、先祖代々の位牌より小さく作る方が良いとされています。
ご先祖様の位牌より大きく作るのは良くないとされているので、注意してください。

浄土真宗における位牌とは

一般的に四十九日までに位牌を準備することが当たり前と言われていますが、浄土真宗では位牌が必要ありません。
浄土真宗以外の宗派では戒名を授かり、成仏できるように祈ります。

 

しかし浄土真宗は「誰でも仏になることが約束される」としているので、故人は仏となって魂は浄土の世界に行っていると考えられています。
浄土真宗では位牌に宿る魂はこの世にはないということになり、位牌は必要ないとされてきました。

 

しかしながら、浄土真宗でも位牌を設けている場合もあります。
日本では、ご先祖様の供養に欠かせないものとして位牌を祀ってきたので「浄土真宗でも位牌でご先祖様を供養したい」と考える人の気持ちをくんで、位牌を置くこともあるのです。

 

位牌を安置しない場合は、法名軸や過去帳に法名を書いて供養を行うのが一般的です。
もともと浄土真宗では、法名軸・過去帳で供養を行うのが当然でしたが、現在では個人の都合・家庭の状況に応じた対応をするのが良いとされています。

連名で一基とする位牌とは

昔は故人ごとに位牌を設けるのが当たり前でしたが、最近は夫婦の位牌を一基にまとめる夫婦位牌を作る人も増えています。
昔と比べて小さな仏壇を選ぶ家庭も増えてきていることから、位牌を一基ずつ作成すると収まらないこともあるためです。
夫婦位牌は一基に夫婦の連名が入ります。

 

位牌を二つ作成する場合と比べ価格負担が少なく済むのも、選ばれる理由です。
夫婦位牌は「あの世でも夫婦が共にいられるように作成される」と考えがちですが、遺族の負担を考えて作成されることも多いようです。
夫婦位牌を希望する場合は、購入のタイミングが大切になります。

 

購入は、夫婦のどちらかが亡くなった時か、ふたりとも亡くなってから購入するかのどちらかになるでしょう。
夫婦のどちらかが亡くなった時に購入する場合、亡くなった方の改名を入れるので、隣は空欄になります。

 

その場合、故人の隣が空欄になり、残された人の名前が入るのを待っているようにも捉えられるので、縁起が悪いと感じる人もいます。
その場合は、先に亡くなられた方の位牌を作成し、ふたりとも亡くなってから夫婦位牌を作成するようにしましょう。

位牌の価格はどれくらい?相場とは?

位牌の価格は一律ではなく、素材やデザインによって変わります。
位牌の相場をまとめると…
・合成漆で仕上げた塗り位牌は1万円前後
・モダン位牌は3万円前後のものが多く、素材やデザインで変わる
・唐木位牌は2万円から5万円

 

一番なじみの深い塗り位牌は高級感があり、購入する人も多いです。
ただし洋風な空間にはマッチしにくいため、最近では現代的なデザインであるモダン位牌も選ばれています。
モダン位牌は洋風のリビングにおいても違和感がない作りなので、二世帯住宅の方が生前位牌として注文することも多いです。

 

位牌の価格はピンからキリまでありますが、子や孫、子孫へと受け継がれていくものです。
目先のことを考えると「なるべく安いほうが良い」と考えてしまいますが、一生に一度のものなので後悔しないものを選びましょう。
深く考えずに安価な位牌を安置してしまうと、故人に対して失礼にもあたります。
また親族や故人の友人など、家族以外の人が仏壇に手を合わせる時もあります。
その際に恥ずかしく感じないものにしたいですね。

まとめ

位牌は故人の戒名や命日を記録するだけのものではなく、故人の魂を宿すとても大切なもので、故人そのものとも言えます。
位牌は一度作ると何十年にも渡って祀るものでもあるため、安易な安置や購入はせず、故人のためのものと考えて購入してください。
これから位牌を購入する人は、故人の人柄を思いながら、ぴったりのデザインのものを安置しましょう。



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